コーディネーターを探せ

 

過去3回の記事(1日目2日目3日目)で述べた渡航直後のドタバタも、週末に入ったために一段落した。今回はこれらのトラブルの背景にある事情を説明した後、そこから得られた教訓を述べたい。つまり言い訳をする。

 

まずそもそも私自身のパーソナリティに問題があることは明白なのだが、それを言い出すと何も良い知見が得られないのでやめよう。英語力の問題に帰結させるのもやめよう。今回の件において言語の壁は問題をより一層面倒なものにしているが、問題の原因自体ではない。

 

では何が根本的な原因だったのか。これは他の留学生にも起こり得る問題なのか。

 

 

 

話はラトガース大学への進学が決まったところまで遡る。私はこの時点で既にアメリカへ早く行きたいという気持ちになっていた。その詳しい理由は昔の記事で述べているが、簡単に言えば東京にいる理由がなくなってしまったのだ。

 

アメリカへ行くためのファーストステップは学校からI-20という入学許可書類を貰うことである。多くの場合は残高証明などにより「私は最低でも一年間は授業料が払えます」と主張しないと貰えないようだが、博士課程の人間はほぼ100%授業料免除なので何をせずともI-20は発行される。

 

さっさとアメリカへ行きたかった自分は、事務をせかすことで4月にはI-20を受け取っていた。しかし面倒なことに気づいてしまった。このI-20は入学1ヵ月前、すなわち8月中旬からの渡航しか認めていない。ちょっとそれでは遅すぎる。

 

そこでより早い日付の書いてあるI-20を再発行してもらおうと画策した。特に理由もつけずにI-20が再発行されるとは思えなかったが、ひとつ名案を思い付いた。5月末から始まる夏学期の授業をとればよい。大学からの授業料免除は受けられなくても、奨学金が使えるはずなので持ち出しは生活費だけで済むだろう。単にアメリカへ行くだけでなく、英語の授業も受けてみよう!

 

この試みは成功した。メールのやり取りに時間がかかったり、なぜか途中で2週間くらい放置されたりしたものの、GW明けには先方から新しいI-20が送られてきた。しかしこれは面倒の始まりでもあったのだ。

 

アメリカの夏学期はおおよそ6~8月の3ヶ月に及ぶ。だから単に夏学期の授業といってもその開始時期にはぶれがあるが、自分のとりたかった英語の授業が始まるのは一番最初の5/29からだった。確かに早くアメリカへ行きたいとは言ったが、まさかI-20を貰ってから1ヶ月も無いとは聞いてない。授業の約1週間前の5/23が渡航日だったので、I-20を受け取ってからたった2週間程度でビザをとり、フライトを予約し、荷物をまとめて旅立ったことになる。かなり慌ただしかった。

 

この切羽詰まったスケジュールは身体に相当な負担をかけた。正直アメリカに来てからのほうがストレスが少ないと感じてしまうほどだ(錯覚の可能性は高いが)。そして時間不足ゆえにアメリカでできることは全てアメリカですれば良いという危険な思想が膨んでいった。

 

また、他の留学生と全く異なるスケジュールで動いているということが追い打ちをかけた。ほぼ全てのタスクを自ら調べて行う必要があり、その手続きはいちいち例外的な扱いとなってしまうので絶対に自己完結せず、常にどこかのオフィスとメールで連絡をとらなければいけない。これを地球の表と裏でやる面倒さを想像してみてほしい!そもそも事務仕事が絶望的に苦手だった自分は渡航直前にして完全になげやりな態度になってしまった。

 

寮や授業登録のことも前からメールはしていたのだ。しかし寮に関してはどうにも話が進まないまま時間切れになり、授業登録に関しても一度簡単な実力テストを受けるべきだと言われたので、日本では手続きが終わらなかった。渡航直前はこれらのことは正直どうでもよくなっていた。すべて現地でなんとかすればいいではないか。恐ろしいことに初日の宿をとっていなかった理由は特にない。異常に投げやり。

 

結局何が言いたいかというと、イレギュラーで急な留学なのが悪かった、これに尽きる!よって仕方ない!!

 

だから自分の性格だとか英語力の問題を差し引いたとしても、やっぱり他の留学生には起こらないトラブルではないかと思う。というか自分は聞いたこと無いよ、こんなぐだぐだな話。

 

 

 

最後に自分が学んだ、かつ他の人にも多少は役に立つと思われる教訓を述べて話をまとめる。

 

そもそも留学の準備期間は十分とって精神的にも余裕をもてるくらいにすべしというのはよく言われることだ。準備期間の理論的最小値を知るのは勉強になるが、それを実践にうつし国外脱出タイムアタックをしてしまうと脱出後の色々なことが間に合わない。

 

とはいえ時間がない中での渡航というのは往々にしてある。だから今回の件で一番大切だと思ったのはコーディネーターを探すことだ!

 

普通は受け入れ先の大学や研究室がそれにあたるので心配ないはずだ。しかし、万が一コーディネーターを見つけられない場合、片っ端から自分自身で連絡をとることになって簡単にキャパオーバーする。結局自分は直接Global officeに出向くことで強引に物事を解決したが、そもそも最初からここにメールしておけば全てが解決したのではないかとも思う。

 

Global officeの人はこうも言っていた。「この大学は非常に大きいので、オフィスにも非常に多くの種類があります。それぞれにしっかり役割が分担されているので、適切なオフィスに問い合わせることが重要です。」

 

言われてみれば寮のことはHousing office、授業登録はRegistrar office、支払いはCashier officeと仕事の内容で細かくオフィスが分かれていた。実は日本の大学でもそうだったのかもしれないが、とにかく自分はそこらへんをよく理解できておらず、とりあえず分からないことがあれば数学科の事務にでも聞いてみようという感じで動いていた。それがダメ。最初から適切なところに問い合わせていれば時間不足でも乗り切れたはずだった。

 

もっと一般化して、頼る人を探せという教訓にしてもいいかもしれない。自分で何でもしようとするのは無理、特に自分のような人間はダメだ。留学に限らず。

 

 

 

こうやって改めて文章にすると当たり前のことしか言ってなくて笑ってしまう。ただ自分はその当たり前ができなかった人間なのだから、これらの経験をちゃんと今後の糧としていこうと思う。

 

以上です。