英語ができないのに留学している

 

早いものでラトガース大学に来て1週間以上過ぎ、先日ようやく指導教官(仮)にも挨拶できた。今週から授業も始まり、ようやくニートから学生へ身分が戻った感じがしている。

 

何故こんな時期から授業が始まるのかと思う人がいるかもしれないが、そもそもアメリカの大学の学事歴は日本とは随分異なる。この大学の場合、入学するのは9月。セメスター制を採用しており、Fall semester(9月~12月)とSpring semester(1月~5月)に学期が分かれる。セメスター間にはWinter sessionとSummer sessionが挟まっており、基本的に学生にとっては休みの期間だが、集中講座も多く開講されている。ここで注目すべきはSummer sessionの長さで、今年(2018年)は5/29から始まり8/15に終わる。約2ヶ月半にも及ぶ夏休み。

 

自分はこのSummer sessionの前半にあるESL(English as a Second Language)とよばれる授業を受講しており、今年度は特にAcademic Writingを扱う。週4日、10時から12時15分まで、さらに毎日宿題が出る。費やす時間だけを見ても多少の英語力向上が見込めそうである。

 

この授業の受講者は10人もいない。半分が中国出身で残りの出身国はバラバラ。U字型に並んで座り、あらかじめ読んできた文章について議論(というほどでもない)をしたり、それに関して簡単なエッセイをその場で書いたりする。つまり日本でもできそうな超普通のことをしている。ただ、わざわざ夏に授業を取るだけあって生徒はやる気があるし、講師の授業の回し方も上手で見習うべき所がある。

 

さて、こうやって早期渡航による数々のトラブルを乗り越えてまでESLの授業に出るというのには、自分の英語力への強い懸念が背景にある。そう、実は自分はPh.D.の学生の中でも英語力が底のレベルにある……。しかもこれは自分が勝手にそう思っているのではなく大学院お墨付きなのだ。

 

大学院出願の際、TOEFLとよばれる非ネイティブ向けの英語の試験を受けた。TOEFLは4つのセクション、すなわちReading, Listening, Writing, Speakingに分かれており、各30点満点の合計120点で評価される。大学院によってはminimum scoreとよばれる点数が設定されており、これを下回ると自動的に足切りもしくは大きな不利が生じると言われる。ラトガースの場合は、各セクションごとにminimum scoreが設定されており、受験者に対して厳格に適用されるわけではないものの、1, 2点下回るだけで大きく不利になると明言されていた。では自分の結果を見ていこう。()内はそのminimum scoreとよばれる点数である。

 

Reading 30(21)

 

Listening 21(17)

 

Writing 21(22)

 

Speaking 17(23)

 

いや、後半2つminimum scoreに届いてないやないかーい。しかもSpeakingに関しては6点も足りてない。Reading満点は褒めてほしい。

 

実は出願先の大学のオフィスに問い合わせると自分のスコアが要求水準にどれくらい達しているのかを教えてくれる。複数の大学の見解として、

 

「とにかくこのSpeakingの点数は悪い。」

 

とのことだった。せめて20点欲しいという感じらしい。さらにラトガースは親切にも、昨年度の合格者と比べた場合に自分の89点というTotal scoreは下から2番目だと教えてくれた。ひゅ~。

 

大学院留学において英語のスコアは合格の決定要因にならないにせよ、不合格の決定要因にはなりうる。ではなぜこの点数でもなんとかなったかというと、自分の輝かしい業績の数々と底知れないポテンシャル……ではなく先生方のご尽力や奨学金のおかげである。今の指導教官(仮)と既にコネクションができており、是非学生に迎えたいと言われていたのが自分の持つ最強のカードだった。アメリカの大学院受験はエントリーシートだけ出して終わりなので、こういうのが物を言うようだ。

 

というわけで正直今Ph.D.の学生としては英語力が全然足りていない。自分でもそれが良いことだとは全く思わないので頑張りたい。タイトルで英語ができないのに留学していると言ったが、英語ができないからこそ留学しているのだと言いたい。

 

人はどうやって、どういうペースで英語ができるようになっていくのか。ご期待ください。

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コメント: 5
  • #1

    熱心な読者 (金曜日, 01 6月 2018 22:01)

    いつも楽しく読ませていただいておりましたが,最近の更新内容には正直不満があります.
    以前は確かにあった,海外滞在時に訪れる大きな危機とそれを乗り越えた際のカタルシスがなくなってしまったように感じるのです.頑張ってない証拠だぞ.
    生魚が恋しくなったのでメキシコ湾で密漁を試みたらメキシコ湾流→カナリー海流と乗り継いでヨーロッパに流されてしまい不法入国で強制送還にあったとか,カナダでJudoを駆使し熊を狩って熊鍋を作ったとか,コ○ン○ア革命軍に入って幹部に上り詰めてみた等の,読むものが手に汗握るアツい展開のブログ記事を期待しております.

  • #2

    フォロワー (金曜日, 01 6月 2018 22:22)

    やっと軌道に乗れた感じですね。諸々の手続き等、お疲れ様でした。色々なことが良い方向へ向かうようお祈りしております。

  • #3

    Eureka GAP (土曜日, 02 6月 2018 00:21)

    熱心な読者さん、私よりも面白いことを書くのはおやめください。それに危機というのは本来連日訪れることはないものなのです。漫画の続き楽しみにしております。

    フォロワーさん、ありがとうございます。生活面はまだガタガタですが、早く数学へ目が向けられるように頑張ろうと思います。

  • #4

    まつお (土曜日, 02 6月 2018 20:13)

    東海岸の大学は地理的に、色々な研究集会に行けそうですね。

  • #5

    Eureka GAP (土曜日, 02 6月 2018 22:05)

    そうですね~。空港も近いですし、欧米の研究集会に気軽に行けそうなのは嬉しいです。まさにそれこそが留学した理由のひとつでもあるので、地理的メリットは最大限利用していきます。